「克己。」

  • という言葉を初めて聞いたのは、中学の朝礼だった記憶がある。「己に克つ」ことにどういう意味があるのかなど、中坊の頃には考えるはずもないのだが。
  • 先ほど、ベンゲルのインタビュー映像で「日本の課題は明らかだ。日本は果たして点が取れるかどうかである。」と語っていたが、的確な指摘である。日本が一番戦わねばならないのは、世界最強のブラジル以前に、自分たちの決定力である。
  • 高原にしろ柳沢にしろ、ベンゲルが言うまでもなく、確かにフリーでボールを受ける動きや前線から献身的にプレスをかける動きは素晴らしい。この面ではJリーグ時代より磨きがかかっている。
  • しかし、サッカーで求めるべきは結局のところゴールなのである。いくら模範的で教科書に載せるべきフリーランを繰り返しても、ゴールに結びつかなければ何の意味もない。逆に、89分全く守備をしないことでチームに負担をかけようが、最後の 1分で決定的な仕事をして勝利に結びつけば、その選手はヒーローである。
  • 極端な例えだが、結局戦術というのは、ゴールから逆算して考えられて組み立てられているもので、何のためにプレスをかけ、何のためにくさびを入れ、何のためにオーバーラップし、何のためにシュートするかという問いに一つ一つ答えていけば、すべてはゴールにたどり着くはずである。
  • プレスのためのプレス、くさびのためのくさび、シュートのためのシュート。個人的だが、これが今の日本の姿に見えて仕方がない。ゴールを決めることに本気にならなければ、ゴールなど決まるはずもない。
  • ジーコには気の毒だが、今の日本は代表に限らず綺麗な形をありがたがるし、そういう選手の評価が高い替わりに、肝心のゴールに対して極めて淡白であるのが、どうも世界標準からずれている。